10.1. プロキシサーバー

アンチウイルスネットワークは1つまたは複数の プロキシサーバー で構成することが出来ます。

プロキシサーバー の主な機能は、直接アクセスが不可能な場合に Enterprise ServerEnterprise Agent 間の接続を確立することです(Enterprise ServerEnterprise Agent が間にパケットルーティングを持たない別々のネットワークにある場合など)。

一般的機能

プロキシサーバーは以下の機能を実行します。

1.指定されたプロトコル及びポートに応じて、ネットワークをリッスンし、接続を受信します。

2.プロトコル変換(対応プロトコル: TCP/IP、IPv6、IPX、NetBIOS)

3.プロキシサーバー 設定に応じて Enterprise Server Enterprise Agent の間でデータをやり取りします。

4.サーバー によって変換された Agent 及びアンチウイルスパッケージ更新をキャッシュします。

更新の変換に プロキシサーバー のキャッシュを使用する場合、以下の利点があります。

ネットワークトラフィックの軽減

Agent 更新の受信にかかる時間を短縮

 

プロキシサーバー は階層的構造で構成することが出来ます。

 

プロキシサーバー を使用した場合の、アンチウイルスネットワークの一般的な構造は 下図をご覧ください。

Dr.Web Enterprise

Server

LAN、インターネット

プロキシサーバー

ルーター

保護されるコンピューター

 

 

プロキシサーバーを使用した場合のアンチウイルスネットワークの略図

動作原理

プロキシサーバーを使用する場合、次の操作が実行されます。

1.サーバー のアドレスが Agent 上で指定されていない場合、Agent はネットワークのプロトコルに応じてマルチキャストリクエストを送信します。

2.接続を変換するように プロキシサーバー がセットアップされている場合(discovery="yes"パラメータ)、動作中の プロキシサーバー を利用できるかどうかに関する情報が Agent に送信されます。

3.Agent は受け取った プロキシサーバー パラメータを Enterprise Server に対して設定します。Agent は以降のやり取りを認識することが出来ます。

4.プロキシサーバー は設定ファイルに応じて、設定したプロトコル経由で指定したポートの着信接続をリッスンします。

5.Agent (又は Enterprise Server)からのそれぞれの着信接続に対して プロキシサーバーEnterprise Server (又は Agent) との接続を確立します。

Enterprise Serversのリストをフォワードするアルゴリズムは以下のとおりです。

1.プロキシサーバー Enterprise Servers のリストをdrwcsd-proxy.xml設定ファイルからRAMにロードします(付録 G4 参照)。

2.Enterprise Agentプロキシサーバー に接続されます。

3.プロキシサーバー は、RAMにロードされた Enterprise Servers リストの最初にある サーバー Enterprise Agent をフォワードします。

4.プロキシサーバー がRAMにあるリスト内の順番をローテーションさせ、Enterprise Server をリストの最初から最後へ移します。

 

プロキシサーバー は、変更された サーバー の順番を設定ファイルに保存しません。プロキシサーバー の再起動後は、Enterprise Servers のリストは設定ファイル内に保存されているオリジナルのバージョンでRAMにロードされます。

 

5.次の Agentプロキシサーバー に接続する際には step 2 から手順が繰り返されます。

6.Enterprise Server とアンチウイルスネットワークの接続が切れた場合(オフラインになった、又はサービスを拒否しているなど)、Agent は繰り返し プロキシサーバー に接続され、step 2 からの手順が繰り返されます。

 

外部ネットワーク( Agent に対して) から起動された ネットワークスキャナ はインストールされた Agent を見つけることが出来ません。

 

 

NetBIOS名を置換 フラグがセットされ、アンチウイルスネットワークに プロキシサーバー が含まれている場合、Dr.Web Control Center 内では プロキシサーバー 経由で サーバー に接続されている全ての端末に対して、端末名の代わりに、プロキシサーバー がインストールされているコンピューター名が表示されます。

 

トラフィックの暗号化および圧縮

プロキシサーバー はトラフィックの圧縮をサポートしています。やり取りされたデータは、トラフィックが圧縮されているか否かに関わらず処理されます。

プロキシサーバー はトラフィックの暗号化はサポートしていません。プロキシサーバー はやり取りされたデータを分析し、Enterprise Server Agent 間のトラフィックが暗号化されていた場合は透過モードに切り替えます(データの分析無しに、サーバーAgent 間の全てのトラフィックを送受信します)。

 

サーバーAgent 間の暗号化が有効になっている場合、プロキシサーバー は更新をキャッシュしません。

 

キャッシング

プロキシサーバー はトラフィックキャッシングをサポートしています。

プロダクトはリビジョンごとにキャッシュされます。各リビジョンは別々のディレクトリ内に保存されます。次リビジョンのディレクトリには、古いリビジョンからの既存のファイル、および変更されたファイルのオリジナルへのハードリンクが含まれています。従って、各バージョンのファイルはハードドライブ上で1つのフォルダ内に保存され、次リビジョンの全てのディレクトリに含まれているのは、変更されていないファイルへのリンクのみです。

最新でないリビジョンは1時間に1回クリアされます。最新であると見なされるリビジョンは最後の3つのみで、それ以外の全てのリビジョンは削除されます。

また、使用されていないメモリマップドファイルは10分ごとにアンロードされます。

設定

プロキシサーバー はGUIを持ちません。設定は設定ファイル経由で調整します。設定ファイルのフォーマットについての詳細は 付録 G4 を参照してください。

 

プロキシサーバー の設定を管理(設定ファイルを編集)することが出来るのは、コンピューター上の管理権限を持ったユーザーのみです。

 

 

Linux系OS環境でコンピューター再起動後に プロキシサーバー を正しく動作させるには、ネットワークマネージャーを使用せずにシステムネットワーク設定を編集する必要があります。

 

開始および停止

プロキシサーバー を開始/停止するには、Windows上から コントロールパネル 管理ツール サービス を開き、drwcsd-proxyをダブルクリックします。開いたウィンドウで必要なアクションを選択して下さい。

UNIX系OS環境の プロキシサーバー を開始/停止するには、startstopコマンドを プロキシサーバー のインストール時に作成されたスクリプトで使用して下さい(プロキシサーバーのインストール)。

WindowsおよびUNIX系OS両方の環境で プロキシサーバー を開始するには、drwcsd-proxy実行ファイルを該当するパラメータで実行します(付録 H10. プロキシサーバー 参照)。